デッドかライブか、その良し悪しは決まらず
2022年 08月 31日
ダラダラと日延べにならないよう最低でも1ヶ月に一度はブログ記事を書こう!と思い立った訳で、なんとか滑り込みである(笑)。
Sonus Faber Minima Amator IIを使うとスピーカー本体にしてもアンプ類にしてもライブセッティングの有効性を実感する。響かないよう設置すると音が死んでしまうのだ。ライブに、音を響かせるように設置すると音に生気があふれる。ガルネリ・オマージュでもそうであった。アマティはトールボーイゆえ若干違うが、概ね同傾向、ライブ構築を好んだ。
それに対して、B&W804d4を使うとスピーカーもアンプ群もデッドに近づけるようセッティングすると良い。805d3でも同じだが、低域のエネルギーが高いだけに804の方がよりデッドにする必要がある。ライブすると音の細部が潰れてしまいピンボケになる。さらに「演奏が下手に聞こえる」ようになる。ノリが効いていないワイシャツのようにヨレヨレな感じ。ま、ヨレヨレもファッションだ!と言ってしまえば、それはそれで個人の趣向なのだが、再生音楽の情報量をできるだけ出力させたいという欲望が強い故にB&Wを使っている輩としては、どうしてもシャープネスを高めていきたくなる。パリッとピシャッとしてほしいのだ。
要するに、Minima Amator IIと804d4は対照的だ。対照的だからこそ楽しい。複数スピーカーを所有する醍醐味がこれ!である。性格が真逆の人(異性)と同時にお付き合いするのに似ている(笑)。
Minimaはライブを好み、804はデッドを好む。長年愛用しているオーディオボードをMinimaをドライブしているラックスマンの球アンプの下に敷いて、音が立ちどころに死んだのには驚いた。ここまでデッドを嫌うとは。機器をただ響かせるだけで音が伸びやかになるというのは都市伝説のように思っていたが、その事実を目の当たりにすると苦笑せざるを得ない。
夏は蝉の声、秋はコオロギや鈴虫、キリギリスの声がまるで耳鳴りのごとく聞こえてくる、防音設備が一切無い我がウサギ部屋であるが、そんな超低レベルなオーディオ部屋であっても外界のノイズが気にならないように鳴らす方法がある。ライブ寄りの再生である。
「B&Wとアキュフェーズを使わずにソナスとマッキンを使うこと」
これに尽きる。他意はない。前者が高級高邁で、後者が低級下品ということではない。表現する音、表現させたい音が対極であるからにほかならない。季節、時期、時間に合わせた節制を愛する使い分けでなのである。
B&Wシステムだと、屋外から押し寄せる虫たちの声はノイズになる。まるで西洋人達が虫の声を愛でることが出来ないのと同じような感覚だ。微細な音の情報が埋め尽くされた再生音の邪魔にしかならない。実に鬱陶しいノイズである。
ソナスシステムだと、蝉の声、鈴虫、コオロギの声は季節の音色になる。部屋で鳴っている音楽に季節のBGMをミキシングすべく、虫たちのエネルギー、その必死に生きている様が溶け込んでくる。聴き方はスピーカーで作られるのだろうが、アンプも問題である。ソナスをアキュフェーズで鳴らすと虫の声はSNを邪魔するノイズに成り下がってしまうから面白い。
我が家のライブは寛容をもたらし、デッドは排他をもたらす。いずれも音楽鑑賞に他ならないがここまでライブとデッドで音の聴かせ方が変わるのが面白く、同時に音楽鑑賞がもたらす精神性の重要さを再認識させられる。
ライブ環境の創出にデッドを持ち込んだり、デッド環境の創出にライブを持ち込んだり、それは個々人のセンスであるが、やり過ぎるとどんな音を聴きたいのか収拾がつかなくなる。
今、デッドに仕上げたいのか、
あるいは、
今、ライブにもっていきたいのか、
それを常に自問し続けないと「これは絶対良くなる!」と思い込みだけで機器を入れると絶対にごちゃごちゃになり、必ず迷走する。
、、、なんてエラソーなことを言っている、目下迷走逆戻り中の私である。