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Sonus Faber Minima Amator II その後

コロナウィルスが猛威を振るっている。一刻もはやく最善の対策が講じられたい。それをただただ祈るばかりである。



自宅試聴したエレクタ・アマトールIII(以下エレクタ)、分不相応なサブ機としては最善の選択だったかもしれない。ミニマ・アマトールII(以下ミニマ)を自室で使い始めてふとそう感じた。が、しかし


「いかんせん、ニアフィールドで使うにはサイズが大きすぎる」


エレクタの価格が805d3よりも高いことはさておき、スピーカーから2m程度のリスニングポイントでは大きすぎると感じたのは事実。15畳以上の部屋で大音量で鳴らしたい。最低出力50Wの管球式アンプも必要だろう。自室ならプリアンプC-3850を除いて、プレーヤーとパワーアンプをエレクタ用に新調しないとならない。管球式となると、マッキントッシュ、ウエスギ、ラックス、エアータイト、オーディオリサーチ、サンバレー、オクターブくらいしか思い浮かばない。つくづくチープなマニアである。


そうである。ウサギ部屋のサブ機なのだ。


サブ機しばりプレイ中なのである(笑)。


サブ機を鳴らすのにフルにガンガン投資しては全く面白くない、そういうしばりプレイもやってみたい。足らないことへ執着して、足らないからこそ良いというのが、オーディオ縛りプレイである「逆戻り」の最重要ポイント。


エレクタの自宅試聴だけを参考に全く試聴なしで導入したミニマ。冒険だったが、ソナスのスピーカーは以前使っていたし、スタンドもカッラーラスタンドに決めたので、音のスケールダウンと低域の量感低減、そして中域寄りの太いサウンドを期待していた。


エレクタの時にポップス音楽が至福だった事を思い出して、ミニマでも同じ曲を再生してみた。マイケル・ジャクソン、ノラ・ジョーンズ、メロディ・ガルドである。エレクタと比べて現実的な音量でバランスが良いサウンドが再生されるこの新生ミニマは非常に好感を持てる。心地よい量感ある弾む低域はエレクタしか得られないが、ミニマはかなりの小音量でもピラミッドバランスを崩さずしっかり鳴ってくれる。低域の量感が少ない分、高域がしっかり聴こえる。

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導入してわずか2週間だが、好みである高域がとてもきれいに聞こえる。喜ばしいことに中域が予想以上に太い。エレクタのように現代的なレンジの広さは今のところ感じられない反面、ミニマにはまとまりの良さを感じる。エレクタよりも鳴らしやすいとも感じる。中域がより太く感じるのはレンジを犠牲にして音の濃さを重視したマニアに好まれる音づくりをしたのではないか。


ところで、カッラーラ・スタンドの大理石部分にホコリよけとしてタオルをかけている。当然音楽を聴くときには外すのだが、先日うっかりはずすのを忘れていた。30分程度タオルを被ったままの音を聞いてから外した。その時の激変ぶりに驚愕。高域の伸び、解像度、前後左右の広がりが全く比較にならないほど向上した。ミニマはスタンドを選べるのだが、ここまでスタンドで音づくりされているならば、「スタンド・オリンピカ ノヴァ」を使ったらまた違うサウンドを体験できるだろう。


さて、ミニマ導入当日から最も気になっている部分。それは所有パワーアンプのレンジ感。805d3用に導入したパワーアンプPー7300のパワーレンジがミニマに不適切であると直感。そこでいつものショップに試聴機を依頼し、自室にマサカ!とやって来たのがコレ。

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ラックスマン 真空管パワーアンプ MQー88uC である。


ミニマアマトールIIは4Ωスピーカーなので、7300だと出力250W/chになる一方、88uCは4Ω専用出力で25W/ch、およそ10倍の出力差のパワーアンプ対決!?である。ソースによって良くも悪くも、一長一短であるが、真空管アンプの独擅場とも言えるピーンと張りのある音色、抑揚を大袈裟に表現するサウンドにノックアウト。連日連夜の自宅試聴後、即注文、翌日導入した。


いまだに手離した事を後悔している、初代ガルネリ・オマージュの「あの音」にほんのちょっとでも近づけたい。無理だとわかっていても。


いかに現代的にリファインされたとしても、このミニマを「あの音」に近づけるにはラックスマンの現代真空管アンプがピッタリと感じた。今でも改めて初代ガルネリオマージュは素晴らしい音色だったと昨日のようになつかしむ。


耽美的で麻薬的なアートと言い切れる初代ガルネリの音。


P-7300の広すぎる!?レンジ。ミニマがそれをなんとか一所懸命出そうという「イッパイ・イッパイ感の音」がどうしても耳障りになってしまう。この感じはエレクタの時はなかった。その点でもエレクタはパワー喰いだが、ミニマは違うのだろう。


もちろんエージングの問題もあるだろうが。

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805d3のように「なにごともないかのように自然に」P-7300の全エネルギーを表現できていない。音が響かないからすぐに分かる。


7300と805d3だと響く。

7300とミニマでは音は響かない。


そこに来て、このラックスマン真空管パワーアンプMQー88uCで鳴らすと、ヴァイオリンが、バッハが、パルティータが、目の前で信じられないほどに鳴り響く。プリアンプC-3850の強力な音づくりがあっても、非力な管球パワーアンプに変えただけでこれほど変化するとは「まさに絶句もの」である。P-7300だと行きすぎた解像度でホール感が表現され、そこで弱々しい小さなヴァイオリンがピーピー鳴っているのに、MQー88uCだと、まさにヴァイオリン、それだけが鳴り響く。ほかは全く何もなくなる。ホールも、スタジオも、空調も、演奏者の立ち位置も何もない。ヴァイオリンの音色だけが部屋中にあふれんばかりに鳴り響く。


ソナスサウンドの醍醐味のひとつは間違いなくコレだ!!!


初代ガルネリみたく、直線的な、ミストシャワーが降り注ぐような、新しいのに枯れたような、鳥肌が立ちっぱなし鳴り方とは違う。

そうであっても、この新生ミニマ・アマトールIIで、エージング中にも関わらず、手持ちのCD、5人の名ヴァイオリニストのパルティータがここまで鳴り響けば、「オレ的」には大成功。


ラックス管球アンプとミニマ・アマトールIIに乾杯!!


by bachcantata | 2020-03-23 20:01 | オーディオ

Mcintosh XRT後は、ソナスファベール・アマティとガルネリを使い分けてイタリアの風を嗜む。デジタルデトックス、軽薄短小にこだわる逆戻りレコード演奏家


by bachcantata